会社のPCがどのようにして紛失に至るのかを知るために、実際に起こった紛失事例を集めました。さまざまなケースがありますが、紛失だけでなくセキュリティ上やってはいけないことなどをチェックしてみてください。
宮崎県都城市は2024年8月8日、市立小学校の教員が約160名の児童に関する個人情報を保存した私物のUSBメモリを紛失したと発表しました。
都城市によると、この教員は自宅で業務を行うために私物のUSBメモリを使用しており、紛失したUSBメモリにはパスワードなどのセキュリティ対策が施されていませんでした。現時点でUSBメモリの所在は不明です。
市の教育委員会は業務での私物USBメモリの使用を禁止していましたが、調査の結果、同校では32名の教員が同様に私物のUSBメモリを使用していたことが明らかになりました。都城市はこの事態を受け、学校の管理職への指導を徹底し、再発防止に取り組むとしています。
参照元:都城市公式ページ(https://www.city.miyakonojo.miyazaki.jp/soshiki/59/66073.html)
業務での私物USBメモリの使用は禁止されていたにもかかわらず、同校では32名の教員が私物USBを使用していたことが明らかになりました。禁止ルールが十分に機能していなかった実態が浮き彫りとなり、形式的な規則だけでは情報管理の徹底は難しいことが示されています。セキュリティ意識の向上に加え、管理体制や業務運用そのものの見直しが求められる事案といえるでしょう。
2023年8月17日、テレビ新潟東京支社の営業社員が移動中に社用パソコンを紛失。パソコンと一緒にパソコンのパスワードを書いたメモも紛失。すぐに警察に届け出をしましたが発見には至っていません。
同社はこれを受けてクラウドサービスや社内ネットワークへの接続ができなくなるように対処。パソコン内に視聴者の個人情報は含まれておらず、不正なアクセスが行われた形跡は確認されていません。
参照元:TeNYテレビ新潟公式ページ【PDF】(https://www.teny.co.jp/info/20230817/20230817.pdf)
パソコンとともにパスワードメモも紛失したことで、物理的な盗難や拾得による不正アクセスリスクが一時的に高まった事例です。幸いにも個人情報は含まれておらず、クラウドやネットワークからの遮断も迅速に行われましたが、パスワードの書き置きや端末単体での情報保護の脆弱性は教訓とすべき点です。社用PCの運用においては、デバイス紛失を前提とした「持ち出し時のリスク設計」が不可欠です。
2022年9月22日、帰宅途中の加賀電子社員が業務用パソコンを紛失。ただちに警察に紛失届を提出し、捜索しましたがパソコンの所在の確認や回収はできませんでした。
パソコンには同社グループ社員2,800名分、取引先約200名分の住所・会社名・メールアドレスなどの個人情報が保存されていました。監視システムを通じてリモート調査を継続していますが第三者による不正使用は確認できていません。
同社はこの紛失事案を受け、パソコンの社外持ち出しの厳格な管理の徹底、個人情報の取扱いについても改めて周知徹底することなどを再発防止策としています。
参照元:加賀電子公式ページ【PDF】(https://www.taxan.co.jp/news-information/wp-content/uploads/2022/09/220930.pdf)
社員が帰宅途中に業務用パソコンを紛失し、グループ社員や取引先など計3,000件超の個人情報が含まれていたことが確認された事案です。不正使用の形跡はないとされていますが、持ち出し端末に個人情報が大量に保管されていた点は大きなリスクであり、物理的な管理だけでなく情報の保有量や保存方法そのものを見直す必要があります。社外利用を前提とした端末運用では、紛失リスクを踏まえたデータ保護設計と運用ルールの整備が不可欠です。
ゼットンは 2019年9月6日、社員がノートパソコン1台を紛失し、同社顧客の個人情報漏洩の可能性について発表しました。ノートパソコンには氏名・企業名・電話番号など顧客の個人情報が最大67,280件が保存されていました。
2019年8月30日に社員が帰宅途中に立ち寄った小売店舗でノートパソコンを紛失。発覚後直ちに遠隔操作によりログインパスワードを複雑化し、警察に届け出をしました。店舗の監視カメラなどの確認など操作を行いましたが発見には至っていません。
同社は今後の対応と再発防止策として、引き続きの情報収集と捜索、全従業員に対する教育、指導の再徹底を行うとしています。
参照元:MINKABU・ニュース【PDF】(https://assets.minkabu.jp/news/article_media_content/urn:newsml:tdnet.info:20190906495435/140120190906495435.pdf)
約6万件以上の個人情報を含む端末を、帰宅途中に紛失するという重大なインシデントです。遠隔操作によるログインパスワードの複雑化や警察への通報など、一定の初動対応は行われましたが、情報保護体制の強度や端末へのデータ保存ポリシーには課題が残ります。大量の個人情報を端末に保存したまま業務外の行動が可能だった運用設計そのものに見直しが求められます。技術的対策と運用ルールの両面から再構築する必要があります。
稲敷市は2019年8月23日に水道情報を記録した携帯型タブレット端末「水道管路台帳システム」1台を紛失したことを発表。紛失したタブレットには10,810件分の加入者名、水量メーター器の場所、114件分の電話番号が含まれていました。
タブレットにはパスワードが設定されており、8月26日時点では情報が第三者に利用された事実は確認されませんでしたが、不審な訪問・勧誘には注意するよう呼びかけています。
稲敷市ではこの事案を受け、情報管理を徹底と職員のセキュリティ意識の向上を図り信頼回復に努めるとしています。
参照元:稲敷市公式ページ(https://www.city.inashiki.lg.jp/page/page006138.html)
業務用タブレットの紛失により、1万件を超える加入者情報が外部に流出するリスクが生じた事案です。端末にはパスワード設定がされていたものの、完全な安全性を保証するものではなく、住民への注意喚起が必要となる状況に発展しました。モバイル端末を利用した現地業務では、端末そのものの管理強化とともに、情報を端末内に保存せずに済む仕組みの構築やアクセス制御の強化が不可欠です。セキュリティと利便性を両立する運用体制の見直しが求められます。
春日井市は2024年5月22日に個人情報が含まれるデータディスクを紛失していたことを発表しました。収納されていたのは排水設備工事調書等電子スキャニングデータ1,133件で、申請者等の住所、氏名、電話番号が含まれていました。
5月22日に排水設備工事調書のデータを確認するために、保管してある引き出しを開けたところディスクが見当たらなかったことで発覚。その後、捜査を続けましたが誤って廃棄した可能性が高く、不正使用の情報や問い合わせはないとしています。
春日井市では、個人情報が入ったディスクとしての適切な管理が行われていなかったことが原因で、今後の対策としてディスクの不正使用防止策や保管場所の見直しと管理を徹底するとしています。
参照元:春日井市公式ページ(https://www.city.kasugai.lg.jp/kurashi/1020797/1020885/1021181/1034713.html)
オフラインで保管されていたデータディスクの紛失は、物理メディアの管理が十分に徹底されていなかったことを示す典型的な事例です。鍵付きの保管庫などで厳重に管理されていたわけではなく、所在が不明となった後の調査でも誤廃棄の可能性が否定できない点からも、物理的情報資産の取り扱いに対する組織的な管理ルールの欠如がうかがえます。媒体別の管理台帳や使用履歴の明示、長期保管の必要性に応じたデジタル化・クラウド化など、管理手法の抜本的見直しが必要です。
2023年4月21日、高知赤十字病院は患者データを保存したUSBメモリーを紛失していたことを発表しました。内容は2022年度中にICU にて入院していた 1,129名分の患者の診療データ(氏名、年齢、疾患名等)です。
同病院では本件が発覚後、法律に基づき国の「個人情報保護委員会」に所定の届け出を行い、該当する患者に対しお詫びと経緯を説明する書面を送付しました。
また、再発防止策として全職員に対し、個人情報の取り扱いを慎重に行うよう改めて周知徹底を図り、情報セキュリティ研修を重ねて実施するとしています。
参照元:高知赤十字病院公式ページ【PDF】(https://kochi-med.jrc.or.jp/file/upload/%E5%80%8B%E4%BA%BA%E6%83%85%E5%A0%B1%E3%81%AE%E7%B4%9B%E5%A4%B1%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6.pdf)
医療機関における個人情報の管理は極めて高い慎重性が求められますが、今回の事案では、ICU患者1,129名分の診療データを記録したUSBメモリが紛失するという重大な事態に至りました。速やかな報告と患者への説明、個人情報保護委員会への届け出は適切に行われましたが、USBメモリという可搬性の高い媒体を使うこと自体にリスクが内在しています。物理媒体の取り扱いルールの見直しに加え、持ち出しを前提としない業務設計や、記録情報の分散管理・暗号化など、運用面・技術面の両方からの再構築が求められます。
紛失は防ぎきれなくても、「情報が漏れない仕組み」は作れる。
パスワードや暗号化では防ぎきれない情報漏洩リスク。PCやUSBなど、物理デバイスの紛失・盗難を前提に、「漏洩しても意味を持たない」状態を作るという新しい発想が注目されています。
その仕組みを実現するのが、ZenmuTechが提供する秘密分散技術です。
秘密分散技術とはデータを複数の断片に分割保存し、利用時は再度結合させて情報が取り出せる鍵を使わない暗号化技術のこと。
この技術を用いると、断片化されたデータの1つだけでは情報を復元することができないため、例えPCを紛失したとしてもPCの物損となるだけで、情報漏洩にはなりません。
本メディアでは、この「秘密分散技術」を用いて、PCを安全で快適に利用できるサービスを展開しているZenmuTech監修のもと秘密分散技術について解説をしています。
「情報漏洩は防げない」という前提に立ち、情報を守るのではなく、漏洩自体を防ぐという発想の転換により、意識せずセキュリティを享受できるZENMUを開発しました。AONT秘密分散技術を活用したデータ無意味化ソリューションなど、革新的な技術とオープンイノベーションを通じて、新たな発想で「情報の安全」を実現しています。